こんにちは くぅたろうです
技術系最高峰の国家資格【技術士】を目指している方の第一歩【技術士補】の資格
まず受かるためには過去問から勉強するのが早いです。
ただ、過去問はあるけど解説がない。解答はあるけど解説がない。
化学から技術士資格にアプローチする方の参考になればと思います。
技術士合格のための第一歩に役立てていただければ幸いです。
技術士補の過去問【化学】
技術士補【化学】の専門科目の解答と解説を作成しました。
専門科目、共通科目と適正科目の問題と回答は技術士会のHPからダウンロードできます。
誰でも見れるし、基礎科目と適正科目は書籍でも扱っているため勉強しやすいと思います。
一方、専門科目については解説が載っている書籍が少なく、インターネットで探しても見当たりません。
あくまで参考程度に解説を作成しましたが、キーワードなどを足掛かりに検索を広げて技術士補に受かるための一歩にしていただければ幸いです。
(全範囲について専門的な知識があるわけではないので的確な解説ではない場合や素晴らしい解説でない場合もあった場合はあしからず)
専門科目化学 – 1
酸の解離しやすさを表す酸電離定数pKaが示されているので以下のようになる。
(A) 酢酸は水より解離しやすいことから反応は起こり得る
(B) シアン化水素酸は酢酸より解離しにくいため反応は起こりにくい
(C) エタノールはシアン化水素酸より解離しにくいため反応は起こりにくい
(D) アセトンはアンモニアより解離しやすいため反応は起こり得る
よって③
専門科目化学 – 2
(A) ①〜⑤は全て芳香族化合物に分類できる。
フェナントレン:3つの芳香環(六員環)が結合
フェニルアセチレン:フェニル基をもつアセチレン
アズレン:ナフタレンの構造異性体(五員環と七員環)
(B) 全ての水素核が σ6.5~8.5 になるのは芳香族プロトンの場合のみ。フェニルアセチレンとスチレンは除外。
(C) 可視領域:380~750nm.
ナフタレンは286nm、アントラセン(3つの芳香環が結合)は375nmにピークがあるように、多環芳香族は芳香環が増えると長波長側にシフトする。
アズレンは鮮やかな青色を呈し、576nm付近、つまり可視領域に吸収極大をもつ。
よって⑤
専門科目化学 – 3
形式電荷 = 価電子数 ー ローンペア x 2 ー 共有結合数
(A) 酸素Oの形式電荷 = 6 – 1 x 2 – 3 = +1
(B) 窒素Nの形式電荷 = 5 – 0 x 2 – 4 = +1
(C) 中心酸素Oの形式電荷 = 6 – 1 x 2 – 3 = +1
よって①
専門科目化学 – 4
ホフマン転移(Hofmann転移):第一級アミンから炭素一つ減らしてアミンを合成する方法。臭素のアルカリ水で処理する。加水分解すると第一級アミン、アルコールを反応させるとカルバメートが得られる。
クルチウス転移(Curtius転移):カルボン酸ハライドにアジ化物を反応させるとイソシアネート(-N=C=O)が生成される。加水分解によって炭素が一つ減ったアミンが生成される。
ザンドマイヤー反応(Sandmeyer反応):芳香族ジアゾ化合物の変換(ハロゲン)反応。
よって④
専門科目化学 – 5
数え上げると…
1: C-C-C-C-C-C-C,
2: C-C(-CH3)-C-C-C-C,
3: C-C-C(-CH3)-C-C-C,
4: C-C(-CH3)-C(-CH3)-C-C,
5: C-C(-CH3)-C-C(-CH3)-C,
6: C-C-C(-CH2-CH3)-C-C,
7: C-C(-CH3)2-C-C-C,
8: C-C-C(-CH3)2-C-C,
9: C-C(-CH3)-C(-CH3)2-C
よって①
専門科目化学 – 6
A: L, B: 20, C: βプリーツシート, D: 水素, E: 二次
よって④
専門科目化学 – 7
(A) 正解 ディールス・アルダー反応:共役ジエンにアルケンが付加して不飽和6員環を形成する反応。[4+2]環化付加反応とも呼ばれる。
(B) E2反応(二分子脱離反応)は、塩基が基質の水素を引き抜き、基質の脱離基(臭素)が脱離する。
(C) 正解 アルドール反応は塩基でも酸触媒存在下でも進行する。
(D) SN2反応は立体障害の影響が大きいため第3級ハロゲン化アルキルの場合ほぼ進行しないが、ラセミ化はしない。
(E) 正解 マイケル付加は、α,β-不飽和カルボニル化合物に求核剤が付加する反応。
よって不適切なものは、(B)と(D)で③
専門科目化学 – 8
①オイルシェールはケロジェンが主体であるが流動性はない。間違い
②正解 タールサンドは極めて粘性が高い。
③正解 米国モンタナ州、ノースダコタ州、テキサス州など
④正解 頁岩(けつがん)層から取れるガス。水圧破砕法で人工的に割れ目を作ってガスを採取する。(どうでもいいが「プロミスト・ランド」という関連映画がある)
⑤正解 石炭層にメタンが吸着している。二酸化炭素、エタン、プロパン、ブタンなども含まれるが、主成分はメタン。
専門科目化学 – 9
①正解 組成ではあまり変わらない。
②試料をかき混ぜないでパラフィン等の個体が析出・分離する温度を曇り点という。一定の条件で流動しなくなる温度を求め、これを流動点とする。間違い
③正解 石油留分の密度についての記述。
④正解 石油類の性状を示す粘度は動粘度を用いる。動粘度計で測定する。
⑤正解 石油の用途、絶縁油として用いる。
よって②
専門科目化学 – 10
①正解 パラフィン系炭化水素(CnH2n+2で表される。直鎖状をノルマルパラフィン、側鎖を持つものをイソパラフィンという)とオレフィン系炭化水素(CnH2nで表される。二重結合を持つ鎖状の不飽和炭化水素)との反応によりイソオクタンなどの高オクタン価イソパラフィンを得る。
②正解 得られたイソオクタンのようなイソパラフィンをアルキレートという。
③正解 ノルマルブタンを異性化してイソブタンを補う方法がある。
④正解 アルキレートの成分はオクタン価の高い基材。
⑤接触アルキル化法に使用される触媒は、塩酸ではなく硫酸、またはフッ化水素である。塩酸が間違い
よって⑤
専門科目化学 – 11
(A) 灯油の炭素数は11~13で構成される。間違い
(B) 正解 電灯が普及する前は灯火用の油として用いられていたが、現在は家庭用暖房や厨房用燃料として主に用いられる。
(C) パラフィン系オイルは煙や煤が出にくい。間違い
(D)サルファーフリーは10ppm(0.001%)以下である。間違い
(E) 正解 灯油の引火点は40~60℃。灯油はよく利用される。
よって③
専門科目化学 – 12
自動車用エンジンオイルには、防錆作用・潤滑作用・洗浄分散作用・気密作用・冷却作用などそれぞれ作用がある。ただし、エンジンオイルはエンジン内部の冷却を行う。オイルフィルターの熱を奪うことで冷却するわけではない。
よって⑤
専門科目化学 – 13
①正解 長年、燃焼して発生した熱を取り出して利用してきた。
②正解 微粉炭燃焼についての記述。
③正解 蒸気タービンの発電端効率は約40%
④この性質は粘結性という。間違い
⑤正解 原料炭にならないものを一般炭といい、発電用燃料として用いる。
よって④
専門科目化学 – 14
A: 過剰レイリー比、B:二乗平均回転半径、C:第2ビリアル係数、D:重量平均分子量、E: 過剰分極率
よって①
専門科目化学 – 15
A:連鎖重合、B:逐次重合、C:付加重合、D:開環重合、E:重縮合
よって⑤
専門科目化学 – 16
A:弾性体、B:粘性体、C:粘弾性体、D:応力緩和、E:クリープ
よって②
専門科目化学 – 17
A:結晶性、B:非晶性、C:ガラス、D:ゴム、E:ガラス転移、F:ミクロブラウン運動
よって①
専門科目化学 – 18
A:グッドイヤー、B:ベークランド、C:シュタウディンガー、D:カロザース、E:フローリー
よって③
専門科目化学 – 19
(A)正解 アミド結合によって結合されたポリアミド(-CO-NH-)は、ナイロンと呼ばれる。1930年代初め、デュポン社のカロザースによって発明された合成繊維。
(B)正解 PETはペットボトルなどでよく使用される
(C)正解 ポリカーボネートはウォーターサーバーの容器などで見かける
(D)アルコールの一種(多価アルコール)ポリオールとイソシアナート類の重付加反応によって合成される。間違い
(E)アラミドは高強度、高耐久で耐熱性がある。引張強度も強い。間違い
よって⑤
専門科目化学 – 20
A:ナトリウム、B:水素あるいは炭素で還元、C:電気分解、D:360、E:1060
計算:ファラデーの法則、電気量 [C] = 電流I [A] x 時間t [s]より
電気量 [C] = 1,000 [A] x 3,600 [s] x 0.8 = 2,880,000 [C]
電子の物質量 [mol] = 2,880,000 [C] ÷ 96,500 [C/mol] = 29.8 [mol]
Mg2+ + 2e– = Mg より2molの電子から1molのMgが得られるため、24.3 [g/mol] x 29.8 [mol] ÷ 2 = 362 [g]
2Cl– = Cl2 + 2e–より2Cl– から1molの塩素と2molの電子が得られるため、35.5 [g/mol] x 2 x 29.8 [mol] ÷ 2 = 1,058 [g]
よって④
専門科目化学 – 21
近年の吉野彰氏によるリチウムイオン二次電池のノーベル賞が新しい。
従来のリチウムイオン電池ではデンドライト状のリチウム金属が析出し、セパレータを突き破り短絡を起こしていた。
これを解決したのが負極に炭素材料を用い、正極にLiCoO2とする新しいリチウムイオン二次電池。
よって④
専門科目化学 – 22
分散媒:粒子が分散している媒質 / 分散相(質):分散している粒子
エアロゾル:気体(gas)の分散媒と液体(liq)の分散相
フォーム:液体(liq)の分散媒と気体(gas)の分散相
エマルション:液体(liq)の分散媒と液体(liq)の分散相
サスペンション:液体(liq)の分散媒と個体(sol)の分散相
よって③
専門科目化学 – 23
(A)正解 アーク放電法
(B)正解 サッカーボール状の構造。炭素60個から六員環20個と五員環12個で構成される。
(C)グラファイト(黒鉛)は面は共有結合(sp2)であるが、層同士はファンデルワール力により結合している。面上に電気伝導性はあるが面間に電気伝導性はない。間違い
(D)ダイヤモンドは最も硬い物質であると同時に、熱を伝えやすい物質である。間違い
(E)正解 ダイヤモンドの合成条件
よって⑤
専門科目化学 – 24
①正解 透明度と屈折率が高く水晶のように輝く。
②ホウケイ酸塩ガラスは熱膨張率は比較的低いが、主に実験用ガラス器具(ビーカー等)に使用される。間違い
③正解 リサイクルガラスなどを高温で溶かし、細い繊維をわた状にして製造されグラスウール(ガラス短繊維)と呼ばれる。
④正解 現在最も多く利用されているガラス。
⑤正解 ガラスとはガラス転移現象を示す非晶質個体。
よって②
専門科目化学 – 25
①正解 1888年カール・ヨーゼフ・バイヤーによるバイヤー法が開発される。
②苛性ソーダ(NaOH)で溶かす工程を経てアルミナ(Al2O3)を抽出する。間違い
③正解 水酸化アルミニウムを加熱して脱水させアルミナにする。
④正解 アルミナ原料の用途の一つ。
⑤正解 コランダムはアルミニウムの酸化鉱物であり、本来は無色だが不純物により色彩を呈する。
よって②
専門科目化学 – 26
(A) 半導体は温度によって抵抗が変わり、低温時にはほとんど電気は通さない。温度が増すと電気伝導性が増す。ケイ素とゲルマニウムで構成される半導体をシリコンゲルマニウムという。間違い
(B) 正解 添加する不純物によってp型またはn型になる。
(C) 正解 3価のホウ素やアルミニウムでアクセプター準位が形成される。
(D) リン(P)やヒ素(As)を添加することでドナー型、つまりn型半導体になる。間違い
(E) 正解 intrinsic semiconductor、高純度シリコンなど。
よって②
専門科目化学 – 27
①正解 熱の伝わりやすさを熱伝導率λとし、熱流速q [W/m2]、熱伝導率λ [W/(mk)]、温度勾配dT/dy [K/m]とするとq=-λ・dT/dy
②正解 個体壁と流体間の熱移動を対流熱伝達という。
③正解 密度による自然体流。粘性の高い液体ほど熱伝導も悪くなる。
④正解 放射率=吸収率
⑤真空中の伝熱量は分子数(微量)に依存し、分子数は圧力に依存するため結果圧力に依存することになる。間違い
よって⑤
専門科目化学 – 28
①正解 配管圧損の計算などに使う。
②正解 粉体層流の圧損計算などに使う。
③正解 配管などである区間の圧損を予測する計算に使う。
④正解 流体の質量流量は流線上一定である。
⑤ベルヌーイの式は、流体に対してのエネルギー保存の法則。流線上任意の点でエネルギー総和は一定。間違い
よって⑤
専門科目化学 – 29
①擬塑性は剪断速度が増大すると粘度が低下する。間違い
②正解 密度変化が極めて小さい場合でも非圧縮性流体として扱うことができる。
③正解 塑性流体についての記述
④正解 関連ワード:ニュートン流体、非ニュートン流体
⑤正解 擬塑性流体との違いは時間経過に伴い粘度が変化すること(例:ペンキなど)。レオペクチックは逆チクソトロピーとも呼ばれる。
よって①
専門科目化学 – 30
幾何学的相似を保ってスケールアップして翼直径dを大きくすると、変数量を一定とした場合のnが一番小さくなるもの。
各式にnとdが入っており翼直径dの累乗が大きく回転数nの累乗が小さいもの。
攪拌レイノルズ数を一定とすると回転数が最も小さくできる。
ちなみに幾何学的相似を保ってスケールアップした場合、回転数を下げないと単位動力が過大となる。
よって①
専門科目化学 – 31
プロパン:0.3 [m3]、ブタン:0.7 [m3]の1 [m3]の混合ガス、反応式から
必要酸素量O2 [m3] = 0.3 x 5 + 0.7 x 6.5 = 1.5 + 4.55 = 6.05 [m3]
これから理論空気量は 6.05 x 100/21 = 28.8 [m3]
実際は理論空気量の1.15倍なので 28.8 x 1.15 = 33.13 [m3]
過剰酸素量O2 [m3] = (33.13-28.8) x 0.21 = 0.91 [m3]
二酸化炭素量CO2 [m3]は 0.3 x 3 + 0.7 x 4 = 0.9 + 2.8 = 3.7 [m3]
窒素量N2[m3]は 33.13 x 0.79 = 26.17 [m3]
水蒸気を除いた燃焼ガス量は上記から 、0.91 + 3.7 + 26.17 = 30.78 [m3]
よって③
専門科目化学 – 32
W:取りうる場合の数はトランス・ゴーシュ・ゴーシュバーの3つ
ボルツマンの式からSm = RlogW =8.31 x log3 = 8.31 x 1.1 =9.14 [JK-1mol-1]
よって③
専門科目化学 – 33
入熱 = 伝熱面積 x 総括伝熱係数 x 温度差 = (0.4xπx0.4) x 500 x (110-30) = 20,000 [W(Js-1)]
時間あたりに直して、 20,000x 3,600 / 1,000 ≒ 72,000 [kJh-1]
よって③
専門科目化学 – 34
供給流量に対する物質収支を考えるとF=D+W、つまりD=F-W=180 – 80 =100 [mol s-1]
これからL=V-D=150-100=50 [mol s-1]
L:還流液、D:留出液からL/Dを還流比という。
つまりR=L/D=50/100=0.5
よって②
専門科目化学 – 35
ノズルからの排出流量は 0.013m3/10secよりU=0.0013 [m3/s]
ノズル内径φ20mmからノズル面積は 102xπ =314 [mm2] = 3.14×10-4 [m2]
流出速度u = 排出流量 /ノズル面積 = 0.0013 / 3.14×10-4 = 4.14 [m/s]
トリチェリの定理から H = u2 / 2g = 4.142 / 2 x 9.8 = 0.87 [m]
液深 = ノズル高さ+ H より 0.87 + 0.1 = 0.97 [m]
よって⑤
まとめ
以上、平成28年度の技術士補【化学】の過去問(技術士会HPより引用)と解説(独自)でした。
解説不足な箇所はあると思いますがご容赦ください。
技術士一次試験に合格された方は二次試験の参考にしていただければ幸いです。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
問題8で記載した関連映画「プロミストランド」はマット・デイモン主演のヒューマン映画です。参考に以下に貼り付けましたので、気分転換に観賞してはどうでしょうか。
以下は平成29年度の記事リンクです。
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