こんにちは くぅたろうです
技術系最高峰の国家資格【技術士】を目指している方の第一歩【技術士補】の資格
まず受かるためには過去問から勉強するのが早いです。
ただ、過去問はあるけど解説がない。解答はあるけど解説がない。
化学から技術士資格にアプローチする方の参考になればと思います。
技術士合格のための第一歩に役立てていただければ幸いです。
技術士補の過去問【化学】の解答と解説
技術士補【化学】の専門科目の解答と解説を作成しました。
共通科目と適正科目は解答と解説が各サイトで載っており、また書籍でも手に入ります。
一方、過去問は技術士会のHPからダウンロードできるので誰でも見れますが、専門科目については解説が書籍でもなく、インターネットで探しても見当たりません。
ですので解答と簡単な解説を載せました。
キーワードや簡単な解説をもとに検索を広げて頂き、まずは技術士補に受かるための一歩にしていただければ幸いです。
(全ての範囲について専門的な知識があるわけではないので的確な解説ではない場合あしからず)
専門科目化学-1
①正解 フロンティア軌道理論。関連ワード:福井謙一、ロアルド・ホフマン、ノーベル化学賞
②正解 共役系が多くなると吸収ピークが長波長側にシフトする。e.g. ベンゼン:255nm、ナフタレン:286nm、アントラセン375nm
③正解 エノンはアルケンとケトンの共役系を構成する置換基
④可視光領域は380~780nm。β-カロテンの吸収極大は448nm, 475nm. 仮に問題文の550~650nmを吸収するとオレンジ色(600nm付近)は呈さない。間違い
⑤正解 β-カロテンは体内でビタミンA(レチナール)となる。
専門科目化学-2
方法Ⅰ)ヒドロホウ素化(Hydroboration)により逆マルコフニコフ則のアルコールが生成される(ウラジミール・マルコフニコフ)。
塩基性過酸化水素水(H2O2とNaOH)でホウ素がOH基に変わり、1-メチルシクロペンテンは”C”の構造になる。
(HとBH2が2重結合の同じ面に付加した後、アルコールに変わる)
方法Ⅱ)オキシ水銀化と脱水銀化によりマルコフニコフ則となる。
オキシ水銀化でOHとHg-O2CCH3が二重結合に付加(OHはメチル基側)。水素化ホウ素ナトリウムによって水銀がHに置き換わる。
Aの構造となる。よって④が正解
専門科目化学-3
SN2反応とは二分子求核置換反応のこと。
プロトン性溶媒(メタノール)だと分極率の高いもの(周期表で左、下に行くほど強い)が反応しやすくなる。1位はHS– で(D)、2位はCH3O–で(B)、3位は(C)、4位がNO3–(A)。
よって⑤が正解
専門科目化学-4
それぞれのpKaの値は、
安息香酸:4.21, p-メトキシ安息香酸:4.50, p-クロロ安息香酸:3.98, p-ニトロ安息香酸:3.41, p-メチル安息香酸:4.36
pKaが小さい順に並び替えると④③①⑤②
プロトン解離後(カルボキシル基のH)の共役塩基の安定性により酸性度が変わる。
p-クロロ安息香酸のClは電子吸引性のため、電子がCl側に引っ張られる。ベンゼン環とカルボキシル基では共役塩基が安定となる。
p-ニトロ安息香酸のニトロ基も電子吸引性により、共鳴効果により共役塩基がさらに安定となる。
共役塩基が安定するほど酸性度は上がるのでpKaは低くなる。
メトキシ基は電子吸引性だがO原子の電子がカルボキシル基側で電子リッチになり静電反発により共役塩基が不安定となる。
メチル基などの電子供与性は共役塩基を不安定化させる。
よって④
専門科目化学-5
①正解 C2H2がCH3-CHOになるので、H2Oが付加している
②正解 Brが脱離して二重結合をもつヘキセンとなる
③正解 2級アルコールがSN1反応で置換される
④正解 -CNが求核付加する
⑤ニトロ基は+NO2ニトロニウムイオンという求電子剤になるので、ニトロ化は求電子置換反応。間違い
専門科目化学-6
①ヒドロキノンはベンゼン環のパラ位に-OHが2つついたもので、ベンゾキノンはこれが酸化されケトン構造になったもの。還元ではない。また、ヒドロキノンは無色、ベンゾキノンは黄色。間違い
②正解 臭素水と反応して起こる。
③正解 構造を知っているか否か。鎖状部ではなくベンゼン環についている。
④正解 ザンドマイヤー(Sandmeyer)反応
⑤正解 クメン法は有名なのでフェノールとクメンは結びつく。ベンゼンとプロピレンから生成され、フェノールの他、アセトンも副生成される。
専門科目化学-7
①枝分かれするほど沸点が低くなる(分子間力が小さくなる)。間違い
②正解 分子量が増えるほど沸点は高くなる。ヘキサC6<ヘプタC7<オクタC8<ノナンC9<デカンC10
③正解 メチル基があることによる分子間力増加
④正解 トルエンのπ電子による分子間力増加
⑤正解 上記同様
専門科目化学-8
①1980年代に60%台だったが以降は石油の割合は減少。2015年で41%
②天然ガスの割合は1970年代から増え始め徐々に増加傾向であるが2015年でも24%、40%はありえない。
③正解 石炭は2000年代以降、20%台である。
④再生可能エネルギーは徐々に増えているが20%まではいかない。
⑤正解 原子力割合は3.11の地震以降、ほぼなし。
よって⑤
専門科目化学-9
①正解 発熱量についての記述
②正解 熱量計についての記述
③重油(A重油:38.9MJ)>軽油(38.4MJ)>灯油(36.5MJ)>ガソリン(33.4MJ)の順で低下する。間違い
④正解 低位発熱量についての計算
⑤正解 高位発熱量と低位発熱量の違いは水分の蒸発潜熱を考慮しているかしていないか。設備や機器の燃焼時に含まれる水分が排ガスとして出る。
専門科目化学-10
①正解 改質装置についての記述
②正解 改質装置はBTX製造プロセス
③正解 改質装置の触媒の記述(バイメタル:熱膨張率が異なる2種の金属を張り合わせたもの)
④正解 改質装置についての記述
⑤反応圧力ではなく反応温度を高くすると良い。間違い
専門科目化学-11
①正解 ガソリンについて
②正解 よくあるレギュラーとハイオクガソリンのこと
③170~370℃は灯油と軽油の蒸留温度であり、ガソリンは35~180℃と低い。間違い
④正解 酸化安定性は重要な性状となる
⑤正解 2005年からサルファーフリーの供給を開始。ガソリンは2008年からサルファーフリーに規制される
専門科目化学-12
①正解 エンジンオイルは低温で硬くなり、高温で柔らかくなる特性をもつ。関連ワード:SAE規格
②無段変速機(Continuously variable transmission)は、それ専用のオイルがある。間違い
③正解 粘度グレードによって分けられ、酸化剤・防錆剤、消泡剤など添加されているものもある。
④正解 状態変化(低温・高温)する。
⑤正解 合成油や混合油(鉱油+合成油)などもある。鉱油は原油を蒸留して精製される。
専門科目化学-13
①正解 オーストラリア:約64%、インドネシア:約19%、ロシア:約7%
②正解 熱エネルギーとしての直接利用、または熱機関により機械エネルギーに変換して動力とする
③正解 瀝青炭と亜瀝青炭がもつ性質
④一般炭ではなく原料炭。間違い
⑤正解 Clean Coal Technology:CCTという
専門科目化学-14
ア:モノマー、イ:ポリマー、ウ:多分散(分散している粒子の大きさが不均一のもの)、エ:数平均分子量、オ:重量平均分子量
よって③
専門科目化学-15
ア:電子供与性、イ:電気吸引性、ウ:酸性度、エ:停止、オ:低い
よって①
専門科目化学-16
ア:半透膜、イ:浸透圧、ウ:数平均分子量、エ:ファントホッフの式、オ:第2ビリアル係数
よって⑤
専門科目化学-17
①正解 高密度ポリエチレン(HDPE)はエチレンがほとんど分岐を持たず直鎖状に結合した合成樹脂。
②正解 低密度ポリエチレン(LDPE)はエチレンが分岐をもって結合した合成樹脂。HDPEに比べ結晶性や密度が低く、機械的強度、耐熱性は劣るが透明性は良い。
③HDPEはLDPEに比べ低圧で合成される。間違い
④正解 ②参照
⑤正解 ②参照
専門科目化学-18
ア:ガラス状領域、イ:転移領域、ウ:ガラス転移、エ:ゴム状平坦領域、オ:流動領域
よって⑤
専門科目化学-19
ア:N0(1-p)、イ:1/(1-p)、ウ:N0pn-1(1-p)2、エ:npn-1(1-p)2、オ:最も確からしい分布(Flory分布)
よって⑤
専門科目化学-20
ア:立体配置、イ:メソ、ウ:ラセモ、エ:イソタクチック、オ:シンジオタクチック
よって②
専門科目化学-21
①正解 軽水素、水素、重水素がある。
②正解 重水は通常の水より比重が大きい。
③宇宙の元素組成は圧倒的に水素が多く、ヘリウムが2番目に多い。間違い
④正解 水素を取り込む性質のある金属を水素吸収合金という。パラジウムの他、バナジウム、マグネシウム、etc.. 間違い
⑤正解 2つの核スピンが平行のものをオルト水素、反平行のものをパラ水素という。
専門科目化学-22
①PTCヒーターは材料組成により急激に電気抵抗が増加する温度を設定することができる。間違い
②正解 ベアリングやシャフト、軸受けなども作られる。
③正解 一般には透過性は低いが、特定の条件下では光を透過するようになる。
④正解 絶縁性の(ファイン)セラミックの両側に電極を取り付けて電圧をかけると誘電性が生じる。高い誘電性をもつセラミックスがある。
⑤正解 セラミック磁石
専門科目化学-23
①正解 点欠陥が二次元的に連続して配置したもの
②正解 空間的な繰り返しパターンを含まない欠陥格子
③正解 金属結晶内部に原子の並びが線上に乱れた領域の線欠陥を転移という
④原子、イオンが格子位置から格子間位置に移動して空格子点が形成たときの欠陥。格子間イオン対とは組み合わない。間違い
⑤正解 格子位置から消失した原子やイオンが結晶の表面に移動しているもの
専門科目化学-24
ア:ダイヤモンド型、イ:sp3、ウ:sp2、エ:ファンデルワールス力、オ:一致しない
よって⑤
専門科目化学-25
A)常温常圧で気体はフッ素と塩素のみ。臭素は液体、ヨウ素は個体。間違い
B)正解 フッ素が最も大きい
C)正解 関連ワード:蒸留法、海水直接法、イオン交換樹脂法
D)正解 フッ素についての記述
E)正解 塩素は気体液体あるが、生産量は多い
専門科目化学-26
ア:酸化、イ:還元、ウ:電流効率、エ:理論電解分圧、オ:整流器内部抵抗
よって③
専門科目化学-27
①正解 接触法
②塩酸は塩素と水素から合成される。間違い
③正解 オストワルト法
④正解 イオン交換膜法
⑤正解 ハーバー・ボッシュ法
専門科目化学-28
アとイは逆。
よって②が正解
専門科目化学-29
黒鉛40g(3.33mol)からCOが3.33molできるとき、369.6[kJ/mol]の熱が発生
3.33molのCOから20mol%のCO2(0.67mol)が生成されると189.6[kJ/mol]の熱が発生
発生した熱量を足すと369.6+189.6=560[kJ/mol]
よって⑤
専門科目化学-30
対数平均温度差(LMTD):ΔT は、
ΔT1(入)= t1 – t3 =130-30 =100, ΔT2(出)= t2 – t4 = 130 – 80 =50より
ΔT = (ΔT1-ΔT2) / In(ΔT1/ΔT2)= (100-50) / In (100/50) = 50/In2 = 72.4
[t1: 高温側入口温度=130℃, t2: 高温側出口温度=130℃(相変化にのみ熱が使われる), t3: 低温側入口温度=30℃, t4: 低温側出口温度=80℃]
伝熱量は、質量流量x比熱x温度差=2.8 [kgs-1] x 4.18 [J kg-1K-1] x 103 x 50 [K] = 585,200 [Js-1(W)]
(ちなみに、スチーム凝縮水からは2.09×106 x 0.28 = 585,200[Js-1(W)]で同じ)
U = Q/AΔt = 585,200 / (10 x 72.4) = 8.08×102 [Wm-2K-1]
よって②
専門科目化学-31
CuSO4: 160, 5H2O・CuSO4: 250
60℃硫酸銅飽和水溶液100gには、23.1gの硫酸銅が溶けている。[30/(100+30)=x/100 ∴ x=23.1]
20℃まで冷却すると硫酸銅五水和物が出る。20℃の溶質/溶液をそれぞれ比較すると
20/(20+100)=[23.1-y(160/250)] / (100-y)
0.167=[23.1-0.64y] / (100-y)
16.7-0.167y=23.1-0.64y ∴ y=14
答えは③
専門科目化学-32
左タンクの物質量:nL=PLVL / RT=1×100 / (8.31×298) = 0.0404 [mol]
右タンクの物質量:nR=PRVR / RT=100×5 / (8.31×298) = 0.2019 [mol]
分圧の法則より、P=(nL+nR)RT/V=(0.0404+0.2019)x8.31×298/105=5.71 [MPa]
よって③
専門科目化学-33
変数は攪拌動力と回転数のみで、密度・羽径・無次元動力数は定数となる。攪拌動力の比をとると
P(1.5kW) / P(0.75kW) = n(1.5kW)3 / n(0.75kW)3
n(0.75kW)3 = n(1.5kW)3 / 2
∴ n(0.75kW) = n(1.5kW) / 21/3 = 120/1.26 = 95 [rpm]
よって①
専門科目化学-34
反応速度定数の比をとると
k100 / k50 = Aexp(-E/RT100) / Aexp(-E/RT50)
=exp[-E/R(1/T100 – 1/T50)]
=exp[-80.1×1000/8.314 x (1/373-1/323)]
=exp[-9634.4(0.00268-0.00310)]
=exp(4.0)
∴ 2.724 =55
よって④
専門科目化学-35
メタノール蒸気圧に活量係数をかけたものを Pa=236.7×1.786=422.7
水蒸気圧に活量係数をかけたものを Pb=64.24×1.009=64.8
(活量係数は補正のため使う)
メタノール/水の蒸気圧比αは、α=Pa / Pb=422.7 / 64.8=6.5
メタノール気相をy、液相をxとしたモル分率の関係は
y=αx / [1+(α-1)x] となり
= 6.5×0.1 / [1+(6.5-1)0.1]=0.65/1.55=0.42
よって④
まとめ
以上、平成28年度の技術士補【化学】の過去問(技術士会HPより引用)と解説(独自)でした。
解説不足な箇所はあると思いますがご容赦ください。
技術士一次試験に合格された方は二次試験の参考にしていただければ幸いです。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
平成28年度は以下です。
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